「新NISAって聞いたことあるけど、そもそも新NISAって何?」
「新NISAを始めたいけど、何を気を付けたらいいの?」
「現行NISAやってるけど、新NISAは何が違うの?」
このようなことでお悩みではないですか?
この記事では新NISAの注意点とメリットについてご紹介します。
最後まで読むと、注意点に気を付けながら、新NISAへ移行できるかの悩みや新NISAの投資を行うべきなのかという悩みが解決します。
新NISAとは?現行NISAとの4つの違い
2022年12月16日に自由民主党・公明党が公表した報告書「令和5年度税制改正大網」において、NISA制度の抜本的拡充・恒久化について発表されました。
現行NISAと新NISA(新しいNISA)は比較して、色々変更されていますが、特に大きく違う点を4つご紹介させていただきます。
参照:令和5年度与党税制改正大綱|令和4年12月16日自由民主党 公明党
参照:新しいNISA : 金融庁
つみたて投資枠と成長投資枠は併用が可能
現行NSIAとの違い1つ目は、投資枠が併用可能により投資額を増加できる点です。
まず、つみたて投資枠・成長投資枠とは新NISAで投資できる枠組みで、現行NISAではつみたて投資枠を「つみたてNISA」・成長投資枠を「一般NISA」と呼んでいました。
現行NISAでは、つみたてNISAか一般NISAのどちらかしか投資できなかったのですが、新NISAは併用可能なので、投資額を増額できます。
例えば、現行NISAで投資で上限が40万円のつみたてNISAを選択した場合、月1万円の少額投資であれば、片方しか投資ができなくても問題ありません。しかし、ボーナスが出た時に追加で40万円を越える金額を投資したい場合、現行NISAでは上限額以上には投資できません。
新NISAの場合、どちらも併用できるので同じくつみたて投資枠だけに投資した状態でも、上限額を越えた金額は成長投資枠に投資が可能です。
投資枠の併用可能による投資額の増加は現行NISAと違う点です。
年間投資可能額がアップ
現行NISAとの違い2つ目は、年間投資可能額が現行よりアップしたことで上限額到達の年数が短くなった点です。
年間投資可能額とは一年間で投資できる上限額です。
現行NISAでは、年間投資可能額がつみたてNISAは年間40万円、一般NISAは年間120万円でした。しかし、両方選べないので最大でも一般NISAの年間120万円しか投資できません。
一方で、新NISAはつみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠は年間240万円とアップし、併用できるので、新NISAの年間投資可能額は合計で年間360万円も増加します。
現行NISA(つみたてNISA) | 新NISA(つみたて投資枠) | |
年間投資可能額 | 40万円 | 360万円 |
生涯投資上限額 | 800万円 | 1800万円 |
上限額到達年数 | 20年 | 5年 |
例えば、表のようにつみたてNISA・つみたて投資枠を年間投資可能額一杯まで投資した場合、上限到達年数は現行NISAより15年も短くなります。
NISAは上限到達が早ければ早いほど長期運用の利益が大きくなるので、年間投資可能額のアップは上限額到達年数が短くすることが可能です。
生涯投資上限額がアップ
現行NISAとの違い3つ目は、生涯投資上限がアップしたことで長期運用による利益が大きくなる点です。
生涯投資上限額とは金融庁が決めた一生涯に非課税で保有可能な上限投資額です。
現行NISAではつみたてNISAが最大800万円、一般NISAで最大600万円になります。片方の枠しか選べないので、最大は800万円になります。
一方、新NISAはつみたて投資枠は最大1800万円、成長投資枠は最大1200万円が生涯投資上限額です。成長投資枠だけでは最大1200万円ですが、つみたて投資枠を併用可能で600万円追加で同じく最大1800万円と増加してます。
現行NISA(つみたてNISA) | 新NISA(つみたて投資枠) | |
生涯投資上限額 | 800万円 | 1800万円 |
5年運用 | 272万円 | 2040万円 |
10年運用 | 621万円 | (4658万円) |
20年運用 | (1644万円) | (1億2331万円) |
※上限額を超えた金額はカッコ付けております。
※1万円未満は四捨五入しています。
※手数料などは考慮せず。
例えば、表のようにつみたてNISA・つみたて投資枠を最速で生涯投資上限額まで到達させて運用した場合、5年運用時点でも900万円以上の差がでます。
したがって、生涯投資上限額アップは長期運用による利益も大きくなります。
非課税保有期間が期限なし
現行NISAとの違い4つ目は非課税保有期間が無期化で、非課税保有期間を気にする必要がない点です。
非課税保有期間とは一定期間税金がかからない期間です。期間を超えると利益確定を行う際、約20%の税金がかかります。
現行NISAはつみたてNISAが20年、一般NISAが5年と期間が決まっています。
一方で、新NISAはつみたて投資枠・成長投資枠は両方無期限で、期間を気にする必要がありません。
例えば、現行NISAでつみたてNISAを選択した場合、非課税保有期間が20年で、非課税保有期間を気にしながら運用しなければならないです。しかし、新NISAは無期限なので、非課税保有期間を気にせず運用が可能です。
したがって、非課税保有期間の無期限化は、期間を気にする必要性がなくなります。
新NISAは待つべき?新NISAのメリット2つ
新NISAを始めるのを迷う人はまだまだいると思います。しかし、新NISAはもうすぐ開始され、早く始めれば始めるほどメリットが大きくなります。
メリットは大きく2点です。
・将来の大きな資産を作ることができる
・柔軟な運用が可能になる
この2点を紹介します。
将来の大きな資産を作ることができる
メリット1つ目は、長期運用により将来の資産構築ができる点です。
現在、投資を考えてない人は給料を銀行に貯金している場合が多いと思います。しかし、銀行の金利は低いので、少額でも新NISAに投資することで預金よりも利益を上げることができます。
例えば、銀行で100万円を預金して金利0.001%で運用した場合、10年で10万1000円になります。利益は1000円です。
一方で、新NISAに月1万円投資して金利5%で運用した場合、10年で155万2,823円になります。利益は35万2823円です。
比較すると、35万円以上の差になります。投資額が増えれば、差はより大きくなるでしょう。
したがって、新NISAの長期運用は将来の資産構築が可能です。
柔軟な運用が可能になる
メリット2つ目は非課税保有枠の再利用が可能なため、一部売却しても、再び投資できて柔軟な運用が可能な点です。
現行NISAでは一度売却した場合、買付金額分の非課税保有枠が消える仕組みでした。しかし、新NISAは売却しても、非課税保有枠が復活します。
仕組みを利用すると、まとまったお金が必要になった時は売却して、復活した枠に再度投資し、再び運用することができます。
例えば、病気で手術費や入院費で200万円が必要になった場合、新NISAの投資から200万円分売却すると、売却した分の非課税保有枠はそのまま200万円復活します。再び投資する際、復活した枠に投資することが可能です。
新NISAは長期運用が前提ですが、必要な時に売却できる柔軟な運用もできます。
現行NISAは移行できない!?新NISAの4つの注意点
新NISAは非課税保有期間の無期限化や生涯投資上限額の増加などメリットが多いですが、運用する際に気を付けなければならない注意点があります。
注意点は4点です。
・現行NISAは新NISAへ移行できない
・自分で考えることが増えた
・売却判断が難しくなった
・元本割れのリスクがある
この4点を紹介します。
注意点①現行NISAから新NISAは移行できない
注意点1つ目は、現行NISAで保有している分は、新NISAに移管できない点です。
新NISAは現行NISAとは別枠になるので、2023年まで現行NISAで保有している分をそのまま新NISAに移すことはできません。しかし、慌てて売却する必要はなく、新NISAが開始されても現行NISAは保有し続けることができます。
例えば、現行NISAで200万円持っていたとします。200万円は新NISAに移すことはできませんが、非課税保有期間が終了するまでは保有し続けて運用が可能です。期間が終了間際になると売却して新NISAに投資を行うか、利益が見込める場合は課税口座に移管して運用するという選択ができます。
したがって、現行NISAで保有している分は、保有し続けるか売却して新NISAに投資するしかないです。新NISAに移管できないのは注意しましょう。
注意点②自分で考えることが増えた
注意点2つ目は、投資の自由度が上がったことで、自分で判断することも増えた点です。
現行NISAでは投資枠の再利用ができない仕組みのため、自由に売却はできませんでした。しかし、新NISAは投資枠の再利用が可能な仕組みなので、自由に売却でき柔軟な運用が可能です。
柔軟な運用が可能な分、含み損(買った時よりも時価が値下がりしている状態)の場合の売却判断や売却後の投資先の判断が必要になりました。
例えば、新NISAは長期運用を行う必要がありますが、投資はITバブル崩壊後やリーマンショックのように数年に1回は株価が大きく下がるときがあります。株価は大きく下がったとしても数年すれば元の水準まで回復します。
しかし、数年まで待たないといけないので、「急いで売らないと」と判断してしまいがちです。したがって、株価が大きく下がったときや売却した場合の再投資は自分の判断力が必要になるので、注意しましょう。
注意点③売却判断が難しくなった
注意点3つ目は、非課税保有期間が無期限化になり、売却判断が難しくなった点です。
新NISAでは非課税保有期間が無期限化したことで、期間が決められていた現行NISAと違い、期間を気にして売却判断する必要がなくなりました。
しかし、現行NISAは非課税保有期間が決められていたからこそ、売却判断がしやすくもありました。
例えば、現行NISAでは、
・非課税保有期間が20年だから、20年以内に売らなければならない
・暴落してしまう場合を想定して、15年目頃に売却を考える
など、売却のタイミングがある程度判断できました。
一方で、新NISAでは非課税保有期間が無期限だからこそ、「いつまでに売ればいいかわからない」など、いつでも資産を保有できるからこそ、1から自分で売却タイミングを考える必要があり、判断が難しくなりました。
注意点④元本割れのリスクがある
注意点4つ目は投資による元本割れのリスクがある点です。
新NISAでは現行NISAと変わらず、主に投資信託を活用して積立投資を行います。
投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金を専門家がまとめて株式や・債券などに投資・運用する商品で、運用した成果を分配する仕組みの金融商品です。
投資信託はハイリスクな商品もあれば、インデックス投資のようにリスクが低く、利益が大きい商品があります。しかし、投資なので完璧な安全はなく、運用実績が悪いときには元本割れする可能性があります。
例えば、100万円分の投資信託に投資したとします。1年後、リーマンショック並みの大暴落が発生した場合、価格が50万円まで低下する可能性があるでしょう。50万円まで低下した場合、含み損が50万円になり元本割れを起こします。
例のように、新NISAは通常の投資信託と同じ運用を行っているので、元本割れのリスクがあることに注意しましょう。
新NISAの注意点を踏まえて投資の目的・目標の設定が重要
ここまで、現行NISAとの違い・メリット・注意点を説明してきました。
注意点まで見ていただいて、おそらく「自分に運用できるのかな」や「やっぱり新NISAはやらなくてもいい」と考える人もいるでしょう。
しかし、不安に思う必要はありません。不安になってしまうのは、投資の目標や目的を何も決めていないからです。
計画的な目標・目的を設定すると、売却のタイミングが判断しやすくなり、株価の暴落が起きても冷静に対応できます。
例えば、1000万円まで投資・20年運用すると設定した場合、暴落しても目標年数まで5年と空いていれば元の水準まで回復すると冷静に判断できます。
新NISAでは計画的な目標・目的の設定が大切でしょう。
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